学会参加
2017年12月19日 火曜日
H29年度 日本歯周病学会60周年記念京都大会に参加してきました
12月は土曜日に祝日、そして年末お休みが重なり、ただでさえ少ない土曜診療日に更に学会が重なってしまいまして土曜診療希望の方、予約が取りづらくなってしまい本当に申し訳ありませんでした
学会のことをお話しさせていただきますと、今回は60周年という記念の大会だったので(10年ごとに大きな大会があります)、開催地も京都ということもあってかテーマが【伝統と革新 歯周病撲滅に向けて】という何ともBigなものでした。日にちも12月15(金)・16日(土)・17(日)といつもなら2日間のところ3日間の開催でした(あまりお休みをいただくと迷惑をかけてしまうので16・17日の参加にしました)
皆さんはこのテーマを見て、歯周病は減ってきているの?歯周病って撲滅できるの?医学が進歩してどんな歯周病でも治ってしまう薬が開発されたの?と思ってしまうかもしれませんが、新しい材料は開発されていますが実際には撲滅というのはあくまですべての歯科医の希望というか望みだという段階です。
例年では症例発表という講演がほとんどであるのに対して、今回はテーマにあるように今までの治療の歩みから今後の展望についてという総論的なものもありました
歯科医師だけではなく、歯科業界の材料で有名な企業の方のお話も聞けたりして、最新ではこのような薬が出ています、こういう材料を開発中ですなど情報も得られたりして大変有意義な時間でした。
やはり学会に参加するということは、新しい知識を得られるということはもちろん、ポスター発表でもほかの先生の様々な治療が見られることも貴重な経験です。虫歯数本であればほとんどの先生は同じ治療をすると思いますが。重度の歯周病で口腔内が機能していないような状態では専門医の先生が複数いれば複数の治療計画が立てられると思います。その複数の治療計画の中からこの先生はこの治療を選んだのか?理由は?などと考えたり直接演者の先生に質問したり、ほかの先生と話し合ったりして新しい引き出しを増やすこともできます。
どうしてもクリニックで治療していると多くの先生がいるわけではないので、考えが偏ったものになったり、新しい情報を得られなくなったりします。
なので常に信念は持ちつつも、柔軟に考えられるように新しい情報やほかの先生方の意見を聞くためにも学会や勉強会に参加することはとても重要だと思っています。
そして純粋に同じように頑張っている人を見たり、話したりするとパワーをもらえるので自分のモチベーション維持にもつながりますよね。あいつ(後輩)も頑張ってるな。俺も頑張ろうという。。
学会で休診してしまった言い訳みたいになってしまいましたが。すみません
そしてせっかく京都に行ったのでお寺も行きました。清水寺。なんと屋根が改修工事中なんですね、全貌が見られず残念。でもお守りも買って聖なるパワーもいただいてきました。
あと、牛かつをいただきました。ステーキが揚げてあって、周りの衣がサクッとしてて中がレアめちゃくちゃおいしかったです。京都に行った際はぜひご賞味ください
2017年6月27日 火曜日
第35回臨床歯周病学会に参加してきました
2017年6月24日・25日に大阪国際会議場で開催されました、第35回日本臨床歯周病学会に参加してきました
期間中は院長不在にし、大変申し訳ございませんでした
今回の大会のテーマは『歯周病患者におけるインプラント治療』でした。
基調講演では東京医科歯科の歯周病学分野の教授である和泉雄一先生のお話を伺うことができました
研究の内容に関しては専門的になるため詳しくは載せませんが、インプラント治療に関して患者様に知っておいてもらいたい情報としてはインプラント治療のリスク因子、つまり成功する、長期的に安定できるか否かを左右するものとして、口腔清掃状態、喫煙、アルコールの消費、歯周病の既往、コントロール不良の糖尿病、遺伝形質などがあります。歯周病患者さんは歯槽骨が溶けているためインプラントを埋入(埋め込むこと)も困難で、埋入してもインプラント周囲炎の発症率が高く、インプラントの失敗につながりやすくなります。またメインテナンスに通院されていない患者様は定期的に通院されて、メインテナンスを受けている方にくらべて5倍インプラント周囲炎の発症が上昇します
インプラントは埋入して終わりではなく歯と同じようにメインテナンスが必要です。いちどインプラント周囲炎に罹患すると治療が困難になります。
みなさんも症状が出る前に定期的に受診しましょう。
今回学んだことを生かしまた臨床に生かしていければと思っております
2016年5月23日 月曜日
第59回春季歯周病学会に行ってきました
平成28年5月19・20日に鹿児島県で開催された第59回春季歯周病学会に参加してきました。
クリニックをお休みさせていただき、その間のご予約がとりにくくなってしまいまして、申し訳ありません
今回はかごしま県民交流センターおよび宝山ホールの2か所で行われ、テーマは『歯周病治療の洗練と革新ー未来への架け橋ー』という現代の治療だけではなく未来を見据えたものでした。
その中で『内服抗菌薬を用いた歯周治療 その実際』という講演がありました。
歯周病はいわゆる細菌による感染症であり、そして発症、進行ともに非常にゆっくりとした慢性疾患です。
歯を磨かないと、口腔内の様々な種類の歯周病菌は、菌体外多糖体という物質を産生し、その中でバイオフィルムという形で身を寄せ合って生きています。
それが育つと歯垢(=プラーク)になります。
歯周病の原因は歯垢で、歯垢は細菌の塊なら抗生物質を内服すれば歯周病って治るのでは?と当然考えると思います。歯周病が治療なしでお薬飲むだけで治るならとても楽ですよね
ただ、この口腔内細菌は通常の細菌と異なり、単体でなくバイオフィルムという形で存在しています。
複数の種類の菌がお互いを助けながら強力なバリアのなかで生活しているといった状態です。
さらに歯に接着する能力、外からの刺激に抵抗する力があるため、いくら薬用効果のあるデンタルリンスで強いブクブクうがいしてもびくともしません。
それどころか抗生物質が浸透せずほとんど効果がありません(バイフォルム恐るべし)
一方で浮遊菌といってバイオフィルムになる前の口の中に漂っている菌には効果があります。
そのため急激に腫れたりする場合は抗生物質を内服します。
つまり残念ながら歯周病は抗生物質内服のみでは治らないということです。
歯周病の治療で大事なのはまずは皆さんのブラッシング
バイオフィルムのバリアを破るという想像をしながら磨きましょう。
しかし強すぎるブラッシングは歯肉下がりや歯の削れや知覚過敏の原因になりますのであくまでイメージとしてです
そして歯医者さんでは固くなってしまった歯石、磨き残した歯垢、ポケット内の細菌などを除去します。
歯周病の状態によってはお掃除で細菌のバリアを破壊した後に抗生物質を内服していただくこともあります。
このような抗生物質を併用した治療は以前から行われていましたが、用いられる抗生物質の種類や使用するタイミングなども時代とともに少しずつ変わり、現代のトレンドと歴史、またメリットデメリットについても講演ではお話しされておりました。
既知のことも含め、今回得た知識をまた診療に生かし、研鑽を積んで参りたいと思います。
やみくもに抗生物質を使用することは、抗生物質が効かなくなる耐性菌を増やしたり体に負担をかけることにもつながりますので、適応とタイミングに関しては歯医者さんと相談されてからにしてくださいね
勉強会が終わり、西郷隆盛像や桜島の噴火も見ることができました。
そして夜は屋台でしゃぶしゃぶ、きびなごの天ぷらetc美味しいもの沢山いただきました。
鹿児島は初めて行きましたがとてもいいところでした機会があれば皆さんもぜひ
2014年10月25日 土曜日
日本歯周病学会に参加してきました
H26年10月19日(日)に
神戸国際会議場で行われた
第57回秋季歯周病学会に
参加してきました。
今回の学会のテーマは『歯周病学 温故知新』でした。
現在、一般的に行われている治療も今までの先生方の取り組みの下に発展してきたのだと改めて感じました。
その中でも専門医教育講演では60年近く現役で、宮内庁の御用掛をされていた先生の講演でした。
演題は『歯槽骨の再生はどのようにしたら起こるか』―新付着を獲得するためには というもので、簡単に言うと、再生治療を併用しない外科治療のみでは歯周病によって失われた骨は再生するのか、しないのかという論争が昔からされていたのですが、その経過と結果をお話しされていました。
歯周病治療の分野も検査機器の発展と、再生療法に用いる材料の開発などの発展により、歯周外科治療のみでも骨の再生が起こることが明らかになりました。
そしてさらに再生治療を併用するとさらに多くの骨を形成することも現在ではわかってきています。
ただ骨の溶け方や程度によっても骨の再生の量に差が出てくることもあり、しっかりと適応を見極めていかなくてはいけないのも事実です。
60年現役の先生のお話ということもあり、治療の経過がどれもとても長く、年月を経ての予後に関して大先輩の講演は本当に身になるものでした。
また今回の学会では専門医の更新がありましたが、審査を終え、無事に更新することができました。
これからも、地域の皆様に貢献していけるよう研鑽を積んでいきたいと思いますので、
どうぞよろしくお願いいたします。