学会参加
2016年5月23日 月曜日
第59回春季歯周病学会に行ってきました
平成28年5月19・20日に鹿児島県で開催された第59回春季歯周病学会に参加してきました。
クリニックをお休みさせていただき、その間のご予約がとりにくくなってしまいまして、申し訳ありません
今回はかごしま県民交流センターおよび宝山ホールの2か所で行われ、テーマは『歯周病治療の洗練と革新ー未来への架け橋ー』という現代の治療だけではなく未来を見据えたものでした。
その中で『内服抗菌薬を用いた歯周治療 その実際』という講演がありました。
歯周病はいわゆる細菌による感染症であり、そして発症、進行ともに非常にゆっくりとした慢性疾患です。
歯を磨かないと、口腔内の様々な種類の歯周病菌は、菌体外多糖体という物質を産生し、その中でバイオフィルムという形で身を寄せ合って生きています。
それが育つと歯垢(=プラーク)になります。
歯周病の原因は歯垢で、歯垢は細菌の塊なら抗生物質を内服すれば歯周病って治るのでは?と当然考えると思います。歯周病が治療なしでお薬飲むだけで治るならとても楽ですよね
ただ、この口腔内細菌は通常の細菌と異なり、単体でなくバイオフィルムという形で存在しています。
複数の種類の菌がお互いを助けながら強力なバリアのなかで生活しているといった状態です。
さらに歯に接着する能力、外からの刺激に抵抗する力があるため、いくら薬用効果のあるデンタルリンスで強いブクブクうがいしてもびくともしません。
それどころか抗生物質が浸透せずほとんど効果がありません(バイフォルム恐るべし)
一方で浮遊菌といってバイオフィルムになる前の口の中に漂っている菌には効果があります。
そのため急激に腫れたりする場合は抗生物質を内服します。
つまり残念ながら歯周病は抗生物質内服のみでは治らないということです。
歯周病の治療で大事なのはまずは皆さんのブラッシング
バイオフィルムのバリアを破るという想像をしながら磨きましょう。
しかし強すぎるブラッシングは歯肉下がりや歯の削れや知覚過敏の原因になりますのであくまでイメージとしてです
そして歯医者さんでは固くなってしまった歯石、磨き残した歯垢、ポケット内の細菌などを除去します。
歯周病の状態によってはお掃除で細菌のバリアを破壊した後に抗生物質を内服していただくこともあります。
このような抗生物質を併用した治療は以前から行われていましたが、用いられる抗生物質の種類や使用するタイミングなども時代とともに少しずつ変わり、現代のトレンドと歴史、またメリットデメリットについても講演ではお話しされておりました。
既知のことも含め、今回得た知識をまた診療に生かし、研鑽を積んで参りたいと思います。
やみくもに抗生物質を使用することは、抗生物質が効かなくなる耐性菌を増やしたり体に負担をかけることにもつながりますので、適応とタイミングに関しては歯医者さんと相談されてからにしてくださいね
勉強会が終わり、西郷隆盛像や桜島の噴火も見ることができました。
そして夜は屋台でしゃぶしゃぶ、きびなごの天ぷらetc美味しいもの沢山いただきました。
鹿児島は初めて行きましたがとてもいいところでした機会があれば皆さんもぜひ