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2017年6月17日 土曜日
子どもの仕上げ磨き
こんにちは
今回は子供の歯について。ただでさえ忙しいのに子どもの歯磨きで悪戦苦闘しているおうちの方の力に少しでもなれたらと思い実体験を交えてお話しさせていただきたいと思います。
子供の歯は大人と構成成分は同じですが成分の割合が違うため、虫歯になると進行が早く、気づかないうちに虫歯ができていて、固いものをかんだ時に歯が欠けたと言って口の中を見てみると歯にものすごく大きな穴が開いていて真っ黒になっているなんてことがあります。
小さい子の虫歯予防のためにはおうちの方の仕上げ磨きがとても重要になってきます。
具体的にどうやるのですか?いつごろから?いつまで?自分では磨いても仕上げ磨きをさせてくれません。
いろいろな報告がありますが、自分の子供の話をさせていただくと、うちには今1歳半、5歳の子がおります。
歯磨きを始めるのは歯が生え始めたタイミングでいいと思います。
最近は大人の口腔内細菌が移行しないように、両親(もちろんおじい様、おばあ様も)とお箸やスプーンなど子供と分けて使ったりされている方が多いと思いますし、どんなに我が子がかわいくてもお口ではなくほっぺにキスされている方もいると思いますので赤ちゃんの頃は虫歯のリスクは低めと考えられますが、それでも菌は定着してしまいますし何より口に中に食べ物以外のものが入って来る感覚はよくわからないうちに慣れさせてしまうのが一番です。初めは3秒ぐらいでも
お子さんがもうある程度大きくなってしまった!昔は嫌がらなかったのに成長と共に(魔のいやいや期)歯磨きしてくれなくなった!というお子さん。
まずは家族の人が歯磨きしている姿をとにかく見せる!洗面所で立ってやっていると小さいお子さんは見えないので、ソファーに座って大人が磨いていると間違いなく興味津々にやってきます。小さな子なら大人がやっている行動は必ずまねしたがります。
いろんな人が毎日やって当たり前なことなんだということを見せて示しましょう
歯ブラシを口に入れていやがるようなら、フッ素入りの甘いフレーバーの磨き粉をつけてあげてください。
うがいはある程度にならないとできないので小さなお子さんな場合はゲルタイプや泡立たないタイプの物がおススメです。
もともと口に入れても問題ないものなので多少なら飲み込んでも大丈夫です。
一人で磨くときも立ち歩いて磨くのだけは絶対させないでください。
1歳半ぐらいであれば怖い顔でしつこく『座って』といえば理解できるようになります。
立ってしまうようであれば、本当に危険なので取り上げてくださいね。
あとはコツとしてはとにかく機嫌のいい時に行ってください
初めからしっかりやろうとしなくても大丈夫なのでまず慣らすところから始めてあげてください。
次に仕上げ磨きですが、我が家の子ども(1歳半)は自分で行う、ゴロンとするところまではいいのですが、仕上げ磨きの時、自分でやりたい気持ちが強すぎて仕上げ用の歯ブラシを自分で持ちたがり、取り返すと大号泣するのでゴロンとした状態で自分用の歯ブラシを持たせ、自分で磨いてもらいつつ隙間から親が仕上げ磨きをする!です(口の中に歯ブラシ2本!)。
この時もとにかく時間をかけないがポイントで、虫歯になりやすいところから磨いていくのがいいと思います。
まず、上下左右の奥歯のかみ合わせ、奥歯の頬側の歯肉と歯の境目、上の前歯の歯と歯の間に毛先を入れて磨きます(左右の乳中切歯間、乳中切歯と乳側切歯の間)を磨き、時間がありそうだったら細かいところを磨きます。
下の子の場合、上の子が仕上げ磨きをされるのを近くで見ていますので、比較的やるのが当たり前なんだと考えているようです。
ちなみに上の子が小さかったときは好きなテレビやDVDが観られるような状態でゴロンとさせ、意識が集中している間に済ませる。しまじろう(宣伝ではありません)の歯磨きDVDをみせながらにやっていました。
歯医者の子供だからすんなり仕上げ磨きをさせてくれるわけでもなくやはりそこは試行錯誤の日々を送っております。
また、いつまでというお話に関してはお子様の成長により個人差があると思いますが、きちんと歯磨きの重要性を分かっている子なら小学校低学年ぐらいまででもいいかもしれませんが、中学年のお子さんでもたまにはチェックしてあげてください。そろそろ恥ずかしいよイヤだよと言われる時期になってしまいそうなので微妙なところではありますが
そして最近ニュースにもなっていますが、歯ブラシを咥えて走ったり、ふざけたりするのは本当に危険です。先日小学校6年生のお子さんでも実際そういう事故がありました。
その子は座っていたのですが、歯ブラシを咥えて振り向いたら思っていたより近くに壁があり、壁に歯ブラシがあたり口腔内に刺さってしまったとのことでした。傷は毛先の半分ぐらいまで刺さってしまった状態でした。
このような事故は大人でも十分起こる可能性がありますので十分注意してくださいね。
子育てはやることが多くて大変で歯磨き、仕上げ磨きにそんなに時間と労力使えないという方もいらっしゃるかもしれません。歯磨きに関しても歯医者さんの言っていることは理想的なお話と捉えて常識の範囲内でアレンジしたり工夫したりするといいと思います。
2017年5月9日 火曜日
歯周再生治療の話④ 再生治療に用いられる薬剤 エムドゲイン
前回までは適応症(歯周病)と使用するタイミング(歯周外科処置)についてお話ししました
今回は実際使用するお薬についてお話します。
現在使用されているの薬剤の中でエムドゲインゲルというものをご紹介します。この薬剤は文字通りゲル状でお掃除によって歯石や細菌を取り除いたきれいな歯根表面に塗布します。
主成分は将来歯のもとになる歯胚から抽出精製したたんぱく質の一種です。
このエムドゲインゲルを歯周病で失われた骨欠損部に応用することで、歯が発生する時の環境を再現し、歯根膜や歯槽骨などを作る細胞を呼び込んで、歯周組織再生を促してくれるのです
ここで知っておいていただきたいのは人の骨はいつも作られたり破壊されたりを繰り返しているということです。
歯周病にり患しても、いつも歯を支える骨を作ろうとはしてくれているのです。ただそこに歯石や細菌といった骨を溶かす原因物質が存在しているため結果的に骨がどんどん溶けて行ってしまうのです
そのため歯周外科処置で歯石や細菌を取り除くとわずかではありますが必要なところには骨が再生してくれます。骨密度も増えます。
歯周病がそこまで重度ではない場合はこの歯周外科処置のみで骨が再生し、また骨密度が改善することで歯周病を食い止めることができます
一方で、骨の欠損形態によって、あるいは歯周病の重症度によっては歯周外科処置にエムドゲインゲルを併用し、より多くの骨を再生させ状態を改善することができるのです。
ただ、骨再生量にも限度があるため、例えば歯根の半分以上骨が溶けてしまった方に対してエムドゲインゲルを使用して、歯周病にり患する前の健康な状態にすることはできますかと聞かれるとやはり難しいと思います
2016年7月2日 土曜日
「日本人はこうして歯を失っていく」
日本における2大歯周病学会(日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会)から初の公式本が出ました
最近では、歯科でも医科でも実験によるエビデンスはないけれど経験に基づいて様々な治療法があり、それを煽った広告を各種のメディアが出していたり、またデメリットは一切報告せず、メリットしかないかのように報告していることもあります。
間違った情報が世にあふれている今、もう一度歯周病とはなにかベーシックな治療とはどういうものか、わかりやすく書いてあるので一度読んでみることをお勧めします。
2016年5月23日 月曜日
第59回春季歯周病学会に行ってきました
平成28年5月19・20日に鹿児島県で開催された第59回春季歯周病学会に参加してきました。
クリニックをお休みさせていただき、その間のご予約がとりにくくなってしまいまして、申し訳ありません
今回はかごしま県民交流センターおよび宝山ホールの2か所で行われ、テーマは『歯周病治療の洗練と革新ー未来への架け橋ー』という現代の治療だけではなく未来を見据えたものでした。
その中で『内服抗菌薬を用いた歯周治療 その実際』という講演がありました。
歯周病はいわゆる細菌による感染症であり、そして発症、進行ともに非常にゆっくりとした慢性疾患です。
歯を磨かないと、口腔内の様々な種類の歯周病菌は、菌体外多糖体という物質を産生し、その中でバイオフィルムという形で身を寄せ合って生きています。
それが育つと歯垢(=プラーク)になります。
歯周病の原因は歯垢で、歯垢は細菌の塊なら抗生物質を内服すれば歯周病って治るのでは?と当然考えると思います。歯周病が治療なしでお薬飲むだけで治るならとても楽ですよね
ただ、この口腔内細菌は通常の細菌と異なり、単体でなくバイオフィルムという形で存在しています。
複数の種類の菌がお互いを助けながら強力なバリアのなかで生活しているといった状態です。
さらに歯に接着する能力、外からの刺激に抵抗する力があるため、いくら薬用効果のあるデンタルリンスで強いブクブクうがいしてもびくともしません。
それどころか抗生物質が浸透せずほとんど効果がありません(バイフォルム恐るべし)
一方で浮遊菌といってバイオフィルムになる前の口の中に漂っている菌には効果があります。
そのため急激に腫れたりする場合は抗生物質を内服します。
つまり残念ながら歯周病は抗生物質内服のみでは治らないということです。
歯周病の治療で大事なのはまずは皆さんのブラッシング
バイオフィルムのバリアを破るという想像をしながら磨きましょう。
しかし強すぎるブラッシングは歯肉下がりや歯の削れや知覚過敏の原因になりますのであくまでイメージとしてです
そして歯医者さんでは固くなってしまった歯石、磨き残した歯垢、ポケット内の細菌などを除去します。
歯周病の状態によってはお掃除で細菌のバリアを破壊した後に抗生物質を内服していただくこともあります。
このような抗生物質を併用した治療は以前から行われていましたが、用いられる抗生物質の種類や使用するタイミングなども時代とともに少しずつ変わり、現代のトレンドと歴史、またメリットデメリットについても講演ではお話しされておりました。
既知のことも含め、今回得た知識をまた診療に生かし、研鑽を積んで参りたいと思います。
やみくもに抗生物質を使用することは、抗生物質が効かなくなる耐性菌を増やしたり体に負担をかけることにもつながりますので、適応とタイミングに関しては歯医者さんと相談されてからにしてくださいね
勉強会が終わり、西郷隆盛像や桜島の噴火も見ることができました。
そして夜は屋台でしゃぶしゃぶ、きびなごの天ぷらetc美味しいもの沢山いただきました。
鹿児島は初めて行きましたがとてもいいところでした機会があれば皆さんもぜひ
2016年4月28日 木曜日
Sunshine Juice
先週末勉強会で久しぶりに青山(渋谷)に行く機会がありました。
最近野菜をとるように心がけてはいるのですが、やはり体にいいことはしておこうと考えますよね
そこではやりのコールドプレスジュース屋さん『Sunshie Juice』に行ってみました。
コールドプレスとは、低速圧搾のミキサーを使うことで熱を加えずに素材の水分を搾り出す製法らしいです。
初めてなので店員さんにおすすめはどれですかと聞くと、初めて方は『Liquid Salad』が飲みやすいですよ
とのこと。『おいしいですよ』ではなく『飲みやすいですよ』とは
いろいろ種類があったのでもう1種類と欲張り、もう一つは赤紫の『Bloody Beets』を購入しました。
後日メニューを見たらサンライズスクイーズ(季節の柑橘)とナッツのミルク系のジュースもおいしそうでした。
そして今回のジュース達の味は。。。。ちょっとクセのある健康になりそうな味でした。
説明したいのですが、こればかりは飲んでみないと表現できない味なので、興味を持たれた方はいろいろな味をチャレンジしてみることをお勧めします
2016年4月28日 木曜日
歯周再生治療③ 再生療法を行うタイミング
歯周再生治療①,②では歯周再生治療とは歯周病の患者様に行う治療であり、その中でも抜歯適応以外の、かなり広い範囲の病態の方に使用できるというお話をしました
では歯周病治療の、どのタイミングで行うのでしょうか。それが今回のお話のテーマです
ズバリ言う前に歯周病治療の流れをまずお話します
①歯周検査 レントゲン 口腔内写真などを用いて診査・診断
↓
②スケーリング:歯肉の上側、浅い部分の歯垢や歯石を除去することにより歯肉の炎症の改善
↓
③歯周組織再評価:ポケットや炎症の改善を評価します
↓
④スケーリング・ルートプレーニング:ポケットの奥に入り込んでいる歯垢や歯石を除去します
・ポケットが深い場合には麻酔を使用します
・数本づつ行うので数回に分けて行います
↓
⑤歯周組織再評価:治療によりどのくらい改善したかを評価します
↓
⑥歯周外科処置:処置後も5mm以上のポケットが残っている部位に対して外科処置を行い、歯石や炎症性組織を除去します(本数により回数がかかります)
↓
⑦歯周組織再評価:治療後の評価を行います
大まかにいうとこのような流れで治療は進んでいきます。
この流れでいうと再生療法を行うタイミングは⑥の歯周外科治療の段階で組織再生のお薬を使用することができるのです
そのため④のスケーリング・ルートプレーニング(SRP)を行いその後の再評価の時点ですべてのポケットが3mm以内に改善した場合は再生療法は適応ではなくなります。
ちなみにお話しすると上に書いた①~⑦の治療はすべて保険治療で行うことができます。⑥の外科治療を行う段階で再生療法を希望される場合は自費治療となります
2016年4月4日 月曜日
歯周再生治療の話② 歯周病の重症度
こんにちは
前回は歯周再生治療は『歯周病に対して適応となる治療法です』という話をしました。
それでは歯周病と診断された時点ですべての人に適応となるのかというとそうではなく、適応できるかは歯周病の重症度が大きく関係します
歯周病の重症度は歯を支えている骨の溶け方(溶けている方向)や溶けている量で決まります。
そしてそれを調べる検査が歯周ポケット検査やレントゲンです。
診断の結果、骨が著しく溶けている場合は再生療法が適応とならず抜歯になってしまうことがあります
歯周病は細菌感染により起こるため放置すればどんどん進行しますし、発症してしまうと歯みがきをいくら頑張っても、原因となる歯石やポケットの奥のプラーク(歯垢)は自分で除去することはできず、やはり進行してしまいまです。
そのため一度発症してしまった歯周病は、残念ながらどんなに高い歯磨き粉を使っても電動歯ブラシを使っても、専門的に治療するしか治す方法がありません(軽度な歯肉炎は適切なブラッシングで改善できます)
そのためやはり、ブラッシング時出血する、歯が動く気がする、歯ぐきがピンク色というより赤いなど気になる症状があれば少しでも早めの受診をお勧めします
尚、再生治療は抜歯適応以外の歯であれば比較的広い範囲の歯周病で用いることができます。
まずは御相談下さい
2016年1月23日 土曜日
歯周再生治療の話① 歯ぐきの腫れ
最近テレビやネットなどで歯周組織再生治療についての話題が多く取り上げられています
そのため当院にも再生治療について聞きたい、自分にも適応できるか調べてほしいという患者様がいらっしゃいます。
歯周病の自覚症状として歯肉の腫れ、出血が挙げられます。
歯周病は無症状で進行することが多く、歯肉の痛みや出血などの症状が出てから来院されることがほとんどです(重度の場合は歯が揺れる)。
しかし、この歯肉の腫れや出血が必ずしも歯周病かというとそういうわけではなく、診査してみると根の先端の炎症の場合があります。
症状が似ているため残念ながら自分では判断することが難しいです
根の炎症が起こる可能性として、以前、歯の神経を取ったことがある、、歯を強くぶつけたなどの既往が挙げられます。
そのため同じ細菌感染であっても歯周病は歯の周りの歯肉や骨から炎症が進行していくのに対して、根の病気は歯根の先端から炎症が進行していきます。
そうなると当然、治療法が異なり歯周病には歯周病治療、根の病気には根の治療を行わなくてはいけません。
前出の歯周組織再生治療は歯周病に適応の治療法です。
同じ歯ぐきの腫れといってもどちらであるかを判定するにはまず、レントゲンや診査を必要がありますので
このような症状をお持ちの方は早めに受診されることをお勧めします
※両者に同時に罹患していることもあります